Storyマタニティリープが生まれた背景
結婚して10年
私(渡辺有貴)は、30代から40代をまたぐこの10年に3回の出産と1回の流産の経験をしています。そして最初の妊娠から現在第3子(1歳6ヶ月)を育てているこの10年はマタニティ期と私が呼んでいる、出産前後の大変だけれど喜びにも溢れ、人生の中で初めて経験するような年月でもありました。
喜びとしては、かけがえのない自分の子供の存在、親から受け継いだ命の連なりがまさにここにあり、まっさらな子供のエネルギーや可愛らしさにその寝顔を見るたびに感動する気持ちがあります。10年経つ今でも色あせることなく、その驚きと感動があります。
大変さといえば、枚挙にいとまがありませんが、生死を意識するような妊娠出産のイベント。毎回の妊娠で、切迫早産となり、2ヶ月ほど動けないようなままならない生活。最初の妊娠から現在まで続く授乳の生活で睡眠時間が1、2時間ごとに寸断され、常に起きているような生活サイクル。(この原稿を書いているのも深夜2時。そして今、末娘が起きてきて授乳する現在深夜3時。<苦笑>)子供3人まとめてお風呂に入れるので、ゆっくりお風呂にも入れません。
仕事としては、大事な仕事を妊娠出産や子供の病気や入院といったことで、断ったり、交代してもらわなければならないいたたまれない状況も数々ありました。
これまでのやり方が通用しない
独身時代や体が自分一人であれば簡単にできたこと、自分一人で決められたことが、家族を巻き込んでいろんな人に相談しないと決められませんし、サポートしてもらわないとままなりません。これまでのやり方(例えば、完璧にやる、納期を守る、きれいにする…)で仕事や育児ができないことにイライラしたり、自分を責めたり、行き詰まることもあります。
そうです。これまでのやり方が全く通用しないのです!
最近ではマタニティブルーという言葉だったり、産後うつなど、言葉が与えられているので、広くそのような状況が認めらていますが、マタニティ期は人生の危機なのです。
悩みや課題も山のようにあり、そのことに意識が向いて抜け出せなくなることもあるでしょう。だからこそ、人生の危機から跳躍して、新しい挑戦や成長につなげる機会になると私は思うのです。崖っぷちの状況だからこそ、大きく跳躍することができます。私自身もこのマタニティ期を通じてこれまでのやり方を新しい生き方に変容させていき、跳躍する機会としてきました。それが「マタニティリープ」です。
「マタニティブルー」や「産後うつ」といった言葉の先にあるものが「マタニティリープ」。どうでしょうか?少しその先が見えそうではないですか?
安心して本音で話せること
マタニティリープの鍵となるのは、「本音を語る」ということです。現在、妊活をしている人も多く、例えば自分自身が妊娠したことやその嬉しさを躊躇なく話をするのが難しかったりします。妊娠中のつわりやそのことで仕事に影響があっても、働き方をアレンジしてもらうことに遠慮を感じる人も多いのではないでしょうか。また、出産後の慣れない授乳や生活のサイクルで、子供のことが可愛くない、投げ出したい、そんな風に思うこともあるでしょう。
そういった本音をどうこうせずに聞いてもらえることはないので(話すと心配されたり、意図せずアドバイスなどをされてしまう)、なかなかその本音の中にあるリープのきっかけにたどり着く機会がありません。
ある意味、本音が安心して話すことさえできれば、それだけで「リープ(跳躍)」なのです。
私はそのきっかけやリープにつながる本音が話せる場を提供したいと思い、「マタニティリープ」という言葉をつくりました。マタニティ期にいるご本人もそうなのですが、その周囲の人にも「マタニティリープ」というコンセプトを知ってもらうことで、人生の危機を安心して経験し、それを応援したり、本音を語りやすくなります。マタニティにまつわる本音が話せることで、育むことができる土壌を作りあえたらと願っています。